最近、米中貿易摩擦による関税の影響や政治的リスク回避のため、日本企業に限らず、多くの国の企業もタイに製造拠点を増やしています。
現地法人の設立は、自社の裁量で事業運営ができる反面、様々な費用がかかり投資額が大きくなります。また、現地のビジネス文化や法律事情に熟知していないと、国や地域の規制により事業がスムーズに運営できないこともあります。そのため、現地で適切な製造業者(パートナー)を見つけ、製造委託(EMS等)の手段を活用することは、海外の製造拠点を立ち上げる上で有効な手段の一つだと考えられます。
以下、東南アジアの中心部に位置し、近隣諸国とのアクセスが良く、輸出入に必要なインフラや物流システムが整備されており、自動車や電子機器などをはじめ多くの製造業が進出しているタイのものづくり状況や現地の製造業者(パートナー)を選定する上でのポイントや注意点をお伝えします。
現地で製造パートナーを選定する上で重要なポイントとは
1.タイの特長
タイに進出する日本企業にとっては、以下のメリットがあります。
(1)材料調達や販売先に関する立地上の利点
タイはサプライチェーンが整備され、部材の調達が容易であるとともに、ベトナムやインドネシアなどの近隣国にも部材調達先や販売機会があるため、ビジネス展開に適しています。
(2)日本企業同士のネットワーク
歴史的に多くの日本企業が進出しているため、日本企業同士のネットワークが充実しています。
(3)タイ政府による積極的な支援 (電気自動車関連)
タイ政府は、バッテリー電気自動車(BEV)の産業競争力向上を目的に、EV(電気自動車)の積極的な支援策を行っています。BEVの購入には補助金を拠出し、BEVの購入数の増加や利用率の向上、メーカーのBEV増産を促進しています。この取り組みにより、中国の複数の電気自動車(EV)メーカーがタイ進出を始めました。
2.現地の製造パートナーの活用
海外生産を行うことには様々なメリットがありますが、特に電子機器などグローバルな競争にさらされている商品においては、製造原価を下げることが極めて重要です。一方で、海外生産を行う場合には、その生産国特有のリスクを理解し、品質やリードタイムに問題が出ないようにする必要があります。
このような問題を回避するために、生産実績のある現地の製造パートナーを活用することが有効です。しかし、製造パートナーを選定する際には、適切な目利きが必要です。以下に、製造委託先を選定する際のポイントをいくつか紹介します。
製造パートナーを選ぶ上で確認したい7つのポイント
・製造実績および外部認証の取得状況(例:ISO)
・国際物流の経験の有無(必要な場合)
・製造に必要な技術人材と設備環境
・実際の現場の様子(現場の整備状況、管理状態、現場改善の取り組みなど)
・部品調達の体制
・必要な労働力を確保する能力
・コミュニケーションを取る上での体制(例:日本語対応可能な人材の保有など)
海外で製造パートナーを選ぶ際には、上記のポイントを踏まえた上で、必ず製造パートナーが運営する製造現場を自分自身で確認し、現場スタッフや環境の様子を観察することが重要です。これによって、信頼できる製造パートナーを見つけ、製造を安心して任せることができます。
JOHNANのタイにおける製造委託(EMS)ソリューション
当社のグループ会社であるJOHNAN SIAM CORPORATION LIMITEDは、タイに拠点があり、特長として以下のようなものが挙げられます。
特長
・当社は海外拠点と連携し、電子部品・電子機器の実装から組立まで一貫したサービスを提供します。また、設計開発においてもパートナー企業と連携して対応可能です。
・当社はISO 9001/14001、Green Industry level3、IATF 16949を取得しており、日本と同レベルの管理体制で高品質なものづくりサービスを提供しています。
・現地では当社オリジナルのマネジメントシステムを導入し、組織運営の管理項目を定期的にチェックして滞らせないよう標準化しています。また、製造現場では5S活動を徹底しており、製造現場の定位置管理や消耗品のカンバン整理などによって、より高品質なサービスや職場環境の改善に取り組んでいます。
動画紹介
5S活動
周辺環境(立地)
会社概要
コミュニケーションと人材育成