ROV

ROV(水中ドローン)を用いた水中土木工事


水中土木業とは、海や湖、河川などの水中環境で行われる土木工事を指します。水中土木工事は、水中環境で行われる工事全般を指し、それぞれの工事の目的や工事環境が異なるため課題や適切な対策が求められます。また、水中土木工事には特有の課題が存在します。

これらの課題に対する対策として、最近ROV(水中ドローン)が活用されるようになってきました。本ページでは、水中土木工事におけるROV活用事例をご紹介します。ROVや水中ドローンに興味をお持ちの方にとって、役に立つ情報を提供できれば幸いです。質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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水中土木工事について

(1)水中土木工事とは

水中土木工事とは、水中環境で行われる工事全般を指します。主に、ダム工事、港湾工事、河川工事、洋上風力発電施設工事、上下水道工事等が挙げられます。各工事の目的や環境が異なるため、各工事において独自の課題が生じ、適切な対策が求められます。その対策として、ROV(水中ドローン)の活躍が期待されています。

(2)水中土木工事の種類

それぞれの工事内容と各工事における課題について、ご紹介します。

ダム工事

水力発電の維持管理や洪水対策などのために実施されます。水中での作業が必須となり、工事の施工精度や安全対策が求められます。

港湾工事

港湾施設の建設や維持管理のために行われます。港湾機能を保つため、定期的に調査と補修が必要となります。

河川工事

河川工事は川底の地形改善、堤防建設、橋梁の建設や保守、排水システムの改善など、多岐にわたります。工事計画の立案や工事中の施工支援のため、河川の地形、土質、水流の状態などの確認が必要です。

洋上風力発電施設工事

風力発電施設の設置やメンテナンスに関する作業などのために行われます。水中調査、基礎設置の補助、ケーブル敷設と保守など安全かつ効率的な作業が求められます。

上下水道工事

管路調査、施工支援、保守点検などが行われます。特に管路や施設内の瑞を抜かずに点検をする場合、水中作業は困難で危険を伴うため、こちらの工事においても安全かつ効率的な作業が求められます。

水中土木工事におけるROVの活用方法

水中土木工事には、水中による視界の悪さ、作業員の安全確保、施工精度の確保など、特有の課題が存在します。これらの課題における対策として、最近ではROVが活用されています。

(1)ROVによる水中調査

水中土木工事では、工事前に地形調査を行い、工事計画を立案する必要があります。また、安全性確認を行うための調査が必要です。これらの調査作業でROVが活用されます。ROVは高解像度のカメラを搭載することで視覚的な調査が可能です。また、センサーを使用することで、水質や地形の高精度なデータを収集することができます。ROVにより、人間が直接水中に入ることなく、より効率的な水中調査が実現します。

(2)ROVによる施工支援

ROVには細かな操縦が可能なモデルもあり、施工支援にも活用することが可能です。人の手による水中での作業は困難で危険を伴いますが、遠隔操作により細かな操縦が可能なROVの活用により、この問題は解消されます。

具体的には、基礎の設置補助、軽重量設備の設置や簡易な修理作業など、さまざまな施工支援作業にROVは対応しています。これにより作業の効率化だけでなく、作業員の安全性向上にも貢献します。

(3)ROVによるメンテナンス支援

水中土木工事では、工事完了した後のメンテナンスも重要です。構造物の寿命を延ばし、安全性を確保するため、メンテナンスは工事後も必要不可欠な作業です。ROVはメンテナンスにおいても能力を発揮します。ROVは水中構造物の定期的な点検を可能にします。これにより、設備の視覚的検査、損傷の発見、また簡易な修理作業にも対応可能です。ROVは高解像度のカメラを利用した構造物の表面の損傷や汚れを詳細に調査することができ、それぞれの状態が小さいうちに問題を発見して修理するなど、大規模な修理や交換作業を減らすことが可能です。

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水中土木工事の事例紹介

各種工事現場におけるROVの具体的な事例を紹介します。

(1)工事現場の観察

ROVは高解像度のカメラやセンサーを搭載しており、工事現場の調査や検査に広く用いられています。これにより、潜水士が直接現場に入る機会を減らすことで安全を確保し、また詳細なデータを取得することが可能になります。地形調査、施工前の基礎調査、施工後の品質検査など、多岐にわたる作業で利用されます。

具体的な事例は、当社のROVを用いた動画で紹介します。

東北地方港湾内防波堤基礎部分調査

(2)ダムの点検

ROVの活用で潜水士を直接危険な環境にさらすことなく、ダムの安全性と機能性を確保するための詳細な情報を収集します。これはダムの適切な管理と、長期的な耐用性を保つために必要不可欠な調査です。

ROVでは、インクジェットトレーサーを用いてインクの流れを観察することによって、漏れの有無や流れの変化も検出することが可能です。ケーブルが長く、推進力が高いROVは、アクセスが困難なダムの底部や排水トンネルのような場所も調査することができます。ダムの点検では、ダム壁の表面に存在する亀裂、劣化、腐食、付着物、侵食などの異常を検出するために使用します。

具体的な事例は、当社のROVを用いた動画で紹介します。

ダム取水口点検

(3)洋上風力発電施設の点検

洋上風力発電施設の建設は日本国内でも始まっています。ROVは工事着手前の調査開発、設置作業、設置後のO&M(Operation & Maintenance、運用・維持管理)での利用が期待されており、洋上風力施設の海域は風や波があるため、特に推進力が高いROVが求められます。

なお、ROVの利用が期待されるO&Mは、支柱・基礎部点検と海底ケーブル点検に分かれます。機種によりますが、支柱・基礎部は、外観検査、犠牲陽極観察、非破壊検査、基礎内部の空洞化点検などが可能です。また、海底ケーブルは探索や腐食状態などの観察を行います。

(4)人工魚礁の観察

ROVは人工魚礁の物理的な損傷や劣化を確認するために使用されます。これは、魚礁の材料が海水によって腐食する可能性があるため、重要な観察ポイントです。さらに、ROVは魚礁が海底に固定されているか、または移動していないかも確認することができます。その他、魚礁の生態学的な機能を評価するためにも使用されます。

具体的には、魚礁に生息する海洋生物の種類と数を観察し、その生態系に異常がないかを確認します。このような情報は、漁業者や海洋生物学者にとって貴重な情報源となります。具体的な事例は、当社のROVを用いた動画で紹介します。

人工魚礁調査

JOHNANのROVソリューション

当社では、パートナー企業と共に、先述のROVソリューションエコシステムを形成し、エンドユーザーの様々な水中課題の解決に貢献できるよう体制を整えております。今後もパートナー企業を増やし、より一層課題解決に貢献できるように努めて参ります。


当社のMOGOOLシリーズは給電式でパワースラスターを搭載し、推進力が高いため、水中土木工事に関する作業を得意としています。水中土木業のお客様にも既にご利用いただいております。先に紹介しました事例は当社が扱うMOGOOLシリーズの機種を用いたものとなっております。
水中土木工事の現場は多様であり、様々なご利用環境に適した機器構成が重要となります。そのため、お客様のご要望に応じてパッケージを提案させていただきます。また、弊社研究所によるAI画像認識技術を活用した点検・診断など、PoCや開発にも対応しております。お気軽に、ご相談いただければ幸いです。

お気軽にご相談ください

当社の利用機種のご紹介

(1)MOGOOL-PRO P1600-C

サイズ(mm):H560×W415×D358
重量(Kg):18.5
ケーブル長(m):150
最大深度(m):150
最大速度(静止水中,Kn):2.5
水中可搬重量(Kg):2.5

特徴

  • 本製品は、軽くて取り回しが楽なエントリーモデルとなります。高い推進力にも関わらず、重さ18.5㎏と持ち運びが便利なモデルとなります。主にダム、湖沼、港湾、内海のご利用に向いております。
  • 給電式で100V電源対応のため、家庭用コンセントか発電機をご用意いただき、 利用することが可能です。
  • オプションは単軸アームとソナーを搭載することによって、対象物を簡易に掴んだり、濁水下において対象物を探すことができます。

(2)MOGOOL-PRO P3000-A

サイズ(mm):H697×W484×D475
重量(Kg):36.0
ケーブル長(m):200.300
最大深度(m):150
最大速度(静止水中,Kn):3.5
水中可搬重量(Kg):2.5

特徴

  • 本製品は、高い推進力かつコスパが良いオススメのモデルです。パワフルな機体のため、ダム、湖沼、港湾、内海はもちろんのこと、外海でもご利用いただくことが可能です。
  • 給電式の200V電源に対応しており、水中可搬重量が5.5kgあるため、様々なマニピュレータやソナーを搭載することが可能です。
  • 上記機種の詳細情報や他の機種につきましては、下記の製品紹介をご覧ください。

作業効率・性能を高める各種オプション品のご紹介

(1)OCULUS Mシリーズ(Blueprint Subsea社)

小型のマルチビームソナーです。水中が濁っていたとしても、水中の対象物を観測することができます。周波数が高周波の場合は対象物を詳細に捉えることができ、低周波の場合は広範囲の中から対象物を探索することができます。

(2)USBL(Ultra Short Base Line)水中音響測位装置

  • GPSなどと連動させ水中に潜ったROVの位置や深度を追跡するためのシステムです。弊社ではSeaTrac(Blueprint Subsea社)やTrack Link 1500(LinkQuest社)の搭載実績があります。
  • さらに、弊社ではUSBLで取得したデータをもとに緯度経度の地図上に、船やROV、目標物を表示させてカーナビのようにROVを操作できる「スリーポイントビューワ」ソフトを開発しております。

アフターサービスについて

MOGOOLシリーズのメンテナンスや修理は、当社の京都にて随時対応しておりますので、安心してご利用いただけます。ご不明な点やご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

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