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X線CT装置を使って樹脂の種類を識別する―デュアルエネルギー比による材質の分類―


X線CT装置は、物体内部の構造や欠陥を可視化するだけでなく、材料の材質を識別するのにも役立ちます。この識別を可能にするのが、異なる管電圧(高エネルギーと低エネルギー、つまりデュアルエネルギー)のX線管で撮影する方法です。

この記事では、異なる種類の樹脂材料(プラスチック)をデュアルエネルギー技術で撮影し、各材料のエネルギー比を計算した結果を画像化して材質を識別する例をご紹介します。

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7種類の樹脂棒

7種類の樹脂棒(フェノール、ナイロン、PVC:ポリ塩化ビニル、エポキシ、テフロン、PC:ポリカーボネート、アクリル)を、80kVと150kVという異なるX線管電圧(デュアルエネルギー)で撮影しました。

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X線管電圧80kVで撮影した断面画像

80kVで撮影した場合の断面画像は上のようになります。

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X線管電圧150kVで撮影した断面画像

150kVで撮影した場合の断面画像は上のようになります。80kVの画像と比較して、どの樹脂棒の領域もわずかに明るさが異なって見えます。

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樹脂領域の画素値を求める(80kV)

各樹脂の領域の画素値を当社ソフトウェアで読み込みます。空気の領域を0とします。80kVの断面画像において、ナイロン領域の任意の1画素の値をX1とします。この領域内にある画素数をN個とします。

Dual_energy_5.png
樹脂領域の画素値を求める(150kV)

150kVの断面画像において、X1と同じ位置の画素値をX2とします。

Dual_energy_6_修正.png
デュアルエネルギー比の計算

当社ソフトウェアで次の計算をします。
(1) 画素値X1X2の比(R)を求めます。同様の計算をナイロン領域にあるN個の画素に対して行います。
(2) 上記で得られた比R1からRNまでの平均値(M)を求めます。
(他の樹脂棒の領域でも同じ計算を行います)

Dual_energy_7.png
デュアルエネルギー比画像

そうして得られた各樹脂のエネルギ―比の平均値(M)で領域内の明るさを表示します。樹脂の種類ごとに明るさが異なるのがわかります。比が大きくなるほど明るくなります。

Dual_energy_サムネ.png
疑似カラー表示画像

さらに疑似カラー表示をすると違いが明瞭になり、簡単に樹脂の種類を識別できます。
エネルギー比が大きい順に並べると次のようになります。
・PVC(赤)
・エボキシ(橙)
・テフロン(黄)
・フェノール(緑)
・ナイロン(青)
・PC(藍)
・アクリル(紫)

このように異なる電圧のX線(デュアルエネルギー)で撮影することで、樹脂の種類を識別できます。この方法(特許出願中)は樹脂のリサイクルなどに応用できる可能性があります。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひこちらのフォームよりお問い合わせください。(本記事は2026年3月に作成しました)


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